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松永 武
JAERI-Review 2001-018, 121 Pages, 2001/06
日本原子力研究所では、大気中に放出され、地表に降下・蓄積した人工放射性核種の長期的移行挙動の理解に寄与することを目的として研究を行ってきた。本報告は、それらの研究の中で、大気から地表に降下した数種の放射性核種の河川流域における挙動についての研究を取りまとめたものである。収載した一連の研究では、1) 河川流域における核種の移行、2) 河川における核種の存在形態の2つの面から研究が行われた。研究の結果、河川水中の懸濁物質が放射性核種の移行媒体として重要であること、河川流域からの核種の年間流出量を河川流量との回帰式で近似できることが示された。チェルノブイル原子力発電所近傍の地域における研究により、溶存有機物がPu 、Amの移行に大きな役割を有していることが明らかにされた。さらに、この錯体形成の解釈ならびに放射性核種の保持体として重要な河底堆積物中の鉄・マンガン相の挙動について化学平衡論に基づくモデル適用された。これらの研究で得られた成果は地表面環境の広域的な汚染が起きた場合の長期的な環境影響の定量化に役立つものと考えられる。